自民党は18日、カジノ解禁を柱とする議員立法「特定複合観光施設区域整備推進法 案」について、今国会での成立を見送る方針を固めた。公明党が「ギャンブル依存症が増える」と慎重に対応するよう主張。成立を急げば与党の足並みが乱れ、 夏の参院選に影響が出かねないと判断した。
自民党のカジノ推進派議員は「今国会も断念だ」と明言。別の同党議員は「自公間で合意できるかだ」と述べ、法案審議を進めるには公明党の協力が不可欠だ と指摘した。 自民党は依存症対策を講じることで公明党の理解を得たい考えだったが、公明党幹部は「何の議論にもなっていない」と、調整が進んでいないこと を明らかにした。
法案は、刑法の賭博罪に当たるカジノ設置を合法化し、ホテル、飲食店、ショッピングモール、劇場などと合わせた複合型施設の整備を進める内容。自民党が 昨年の通常国会に、分裂前の維新の党や当時の次世代の党とともに提出したが、安全保障関連法の成立を優先し、継続審議となっていた。秋の臨時国会以降に仕 切り直したい考えだが、当初想定した2020年の東京五輪・パラリンピック前の施設整備は一段と困難になる。
安倍政権はカジノ解禁を成長戦略の一つに位置付けており、菅義偉官房長官は18日の記者会見で「観光振興、地域振興に大いに期待されている」と表明。同 時に「治安や青少年への影響等の観点から、制度上の措置の検討も必要だと言われている。今後の国会の動きを見守っていきたい」と語った。
<出典 2016年1月18日 時事通信>